CHINA BIZ MANNERS

中国ビジネスマナー入門

その10 2010

「日本文化に学べ」 中華料理しか食べないはずの中国人に日本食が受け入れられている 建外SOHOの江戸前寿司 2010/08

中国ビジネスマナー入門 その10 目次

中国人の面子とはなにか?

中国人にとって、面子はなにより大事なものです。中国社会にどっぷり浸かっていますと、彼らの面子なるものは、自分自身に対する誇りやプライドとはまた違う種類のものであって、それは、身内に対する体面・体裁・面目あるいは、他人もしくは世間の目に映る自分 =世間体だとつくづく感じます。ひと言で言うと、自己顕示欲のかたまり =非常に見栄っ張りなのです。

ですから、中国人は、そのうわべの面子を守るために、非を指摘されても絶対に「謝らない」、「嘘をつく」という行動に出るわけです。そして、その非が決定的になったり、不都合になって言い訳に困ると、だんまりを決め込み、シラを切り通して「なかったこと」にしようとします。

正直言って、日本人には、中国人の面子に対するこだわりにはついていけません。されど、オリンピックも万博も人民の面子の集大成。中国人にとって面子は命より大事なもの。面子を潰すことは、人格否定ととられかねません。直接的であれ間接的であれ、相手の面子を潰すような言動は慎みたいものです。

スマートな注文が接待の決め手

招かれるよりもっと頭の痛いのが、宴会に招く側になったときです。けれども、ポイントさえ押さえておけば、あんがい難しいことではありません。

まず、これと思うレストランを下見しましょう。その際、先に相手方に接待されていた場合は、それと同クラスのお店を選ぶのがルールです。上でも下でも相手の面子を潰します。そして、必ず「中華」で。どんなに高級であっても、日本料理はNGです。下見のときには、実際に少し注文してみて、料理の種類や値段など、具体的なイメージをつかみます。たいてい写真付きメニューがありますので、それほど心配いりません。そして、個室を予約します。

注文で肝心なのは、ズバリ、料理の品数です。これが日本式接待との最大の違いです。人数にもよりますが、細かいことより、とにかく食べきれないほどたくさん、つまり、テーブルいっぱい…いえ、テーブルから溢れるほど!が最重要課題です。そのうえで、前菜(冷菜)、野菜料理、肉料理、魚(海鮮)料理(中国では、大きな淡水魚の煮付けなどは高級料理です)、ごはん・麺もの・粉もの、スープ、デザートなど、バランスよく注文できれば言うことなしです。

そうそう、皿数は必ず偶数で。8、10、12、16皿など。中国では、偶数が縁起がいいとされているからです。

中国式接待はバランスよくテーブルいっぱい注文、が鉄則ですから、逆に、料理が十分に余らない、様子を見ながら少しずつ注文、はNGです。注文は、必ず、最初にすべてです。中国人ゲストは、皿数の少ないこと( =ちょうど食べきれるだけの量であること)、料理がちびちび運ばれてくることを嫌います。「しけてる」「バカにしてる」と感じるのです。

また、宴会のお酒も料理も招待する側が振舞うものですから、ホストは、ゲストにメニューを渡して選んでもらおうとしてはいけません。招待する側 =支払う側がセレクトし、決定するのです。これも日本との違いです。そんなとき、服務員(ウェイターやウェイトレス)は強い味方です。彼らに相談すれば、人数によりなにをどのぐらい注文すればよいか、どれがお勧めかなど、親切に相談に乗ってくれます。

ただし、お酒の好みだけはゲストに聞いてもよいと思います(紹興酒を好む浙江省や上海を除き、乾杯は白酒が一般的でしたが、最近はビールやワインも可)。お酒はもちろん、追加OKです。

ここまでできれば、宴会はほぼ成功したも同然です。ご健闘をお祈りいたします(笑)

飲み方の心得(お酒に呑まれやすい日本人)

中国人とのお酒の席で、ひとつ気をつけなければいけないことがあります。それは、決して酔っ払ってしまってはいけないということです。

お酒と言えばアルコール度数の高い白酒を好んで飲んできた中国人は、日本人より断然お酒に強く、白酒を「ぐいっ」と何杯空けても、あまり酔っ払いません。けれども、困ったことに、ふだん蒸留酒をストレートで飲むことなどなく、体質的にもアルコールに弱い日本人は、泥酔や急性アルコール中毒の危険があるのです。ですから、健康上の理由からも、空腹でお酒の席に臨まない、ビールとチャンポンしない、白酒を飲んだらソフトドリンクで水分を摂る、といった自衛策をとることが必要です。

お酒を飲むときは、相手を誘って乾杯とともに飲むのが普通です。また、誘われた乾杯を断ることは失礼になります。中国人は、なにかと楽しい理由をつけては乾杯をします。干支が同じとわかると乾杯、趣味が同じと言っては乾杯、また、円卓のターンテーブルをクルクル回して止まったときに、大きな淡水魚の頭の指す方向にいる人が飲み干すなど、ゲームのように果てしなく乾杯が続きます。こうして、そのまま中国人のペースについていきますと、すっかり酔っ払ってしまうというわけなのです。

声が大きくなる、相手に絡み出す…こうなってしまっては、せっかくの宴会 =本音の商談も台無しです。中国では、お酒の席での非礼に対しては日本のように寛大ではありませんので、だらしない人間だとの烙印を押されかねません。宴会は飲むことが目的なのではなく、お互いを理解し合うため、本音の語らいをするための土台作りであり、相手の気持ちを解きほぐすストレッチのようなものです。ですから、決してお酒に呑まれてしまってはいけないのです。

最近の中国の宴会、特に若い人たちの間では、白酒を敬遠しビールでの乾杯もするようになりました。けれども、やはり中国の宴会でのお酒は要注意です。お酒の飲めない人や酒が飲めても強くない人は、「飲めない」で通したほうがいいでしょう。その一方、場を盛り上げるには飲める人もまた必要です。その際、飲めても酒癖の悪い人や無茶飲みをしそうな人は、下戸ということにして最初から飲ませず、中国人並みに強い人がいなければ、お酒の味や楽しみ方のわかる人を用意することです。それもまた、中国側に喜ばれるのです。

強気とけんか腰は違う

ディベートの教育を受けることの少ない日本人は、議論や交渉が下手な民族です。だんだんと感情的になってしまった学識者が、「これはビジネスで、子どものけんかじゃあないんですから。もっと落ち着いてやりましょうよ、先生。」と、交渉相手の中国人からたしなめられる場面を目撃したこともあります。

家での食事に招かれるということ

モットーは熱烈歓迎、人生の楽しみは人との交流ともいえる中国人ですから、親しい仲であれば、ごくふつうに家の食事に招待し合っていると思われがちですが、実は違います。

中国人との関わりがかなり深い・長い人でも、あるいは、中国の食について著しているような人でも、中国人家庭の食事に招かれた経験のある人はめったにいないようです。中国人同士でも、よほど親しい仲でなければ、外で食事をともにすることはあっても、家に招いて食事をふるまうことはありません。彼らが頻繁に行き来するのは、一般に親戚関係の場合だけであって、家の食事に招くのは、家族同然のつき合いに限られるのです。

ですから、もしあなたが中国人家庭の食事に招かれたなら、それは「家族・身内」に近い存在になったことを意味します。

中国人の内と外(自己人と外人)

中国人に「家族・身内」の一員として迎え入れられることは、光栄である一方、厄介を背負うことでもあります。

中国人的「自己人・自家人(身内、内輪の人、ごく親しい間柄)」の関係においては、「キミの成功はボクの成功」です。この(日本人的にはたかりと思える)精神には驚かされますが、中国人のアイデンティティともいえる家族主義を考えれば、ごく当然のことなのです。

強烈な血族意識が支配する中国では、出世した人は、一族によくしなければなりません。よく、テレビや炊飯器を大量に持ち帰る中国人観光客がいますが、あれは親戚縁者の分です。親戚一同から借金して留学してくる中国人は、一族の希望と期待を背負っています。家を買うために、兄弟姉妹夫婦一同からお金を提供してもらうこともよくあることです。

中国の企業は、資金繰りに困れば、「外人(赤の他人、グループ外の人)」である日系企業への支払いは踏み倒してでも、身内の企業へは支払おうとします。身内の関係においては、成功も共有すれば、困ったときは助け合うという相互扶助の作用も徹底しています。このように、中国人にとって大切なのは、個人であれビジネスであれ、あくまでも血縁あるいは身内であり、彼らは常に内輪の世界に生きているのです。

ですから、中国人に頼りにされるようになれば一人前といいますか、名実ともに「自己人」として認定されたということですが、同時に、中国人の家族関係は常にお金とセット、という家族主義をいやでも味わうことになります。

結婚式もカジュアルで

結婚式に招かれたら、服装のマナーが気になりますが、まず日本の常識は捨ててください。日本の結婚式と同じ感覚で行ったら、白い目で見られる場合もあるかもしれません。

仕事でもカジュアルな服装が当たり前の中国では、結婚式でも、信じられないぐらいカジュアルです。ですから、正装はまず不要です。逆に、主人公である新郎新婦よりよい格好をしてはいけないのです。

実際、中国人列席者の中には、完全に普段着のままの人もたくさんいます。冬場であればセーターとか。それではいくらなんでも…という人もいるでしょう。では、いったいどういう格好が目安なのかといいますと、街に買物に行くスタイルと考えれば、まず間違いありません。パンツスタイルも、もちろんOKです。中国人女性は、バッグも小さなパーティーバッグではなく、ふつうの大きさのバッグです。

男性の場合は、どうしてもスーツになりがちですが、NGというわけではありません。ただ、中国人的には、新郎以外にスーツを着用するのは、新郎新婦の父もしくは、仲人だけだそうです。新郎新婦の両親でさえ普段着ということもあります。

また、なにを着るか以上に気をつけなければいけないのが、男女共に色です。白一色、黒一色、黒×白、赤一色、赤×白は避けましょう。白と赤は花嫁さんの着る色です。黒やモノトーン、紅白は縁起が悪くなります。いまはだいぶゆるやかになっているようですが、避けたほうが無難です。

立場や土地柄、会場のランク、列席者の顔ぶれや雰囲気に合わせて、スーツやパーティ用のワンピースにするか、少しだけおしゃれするか、というところですが、着飾りすぎて目立ってしまってはいけませんし、日本からのお客があんまりしけているのも相手の面子を潰してしまうかもしれませんし、それについては、招待側に相談してみるのがベストです。

出産祝い

赤ちゃんが生まれたら、日本と同じように出産祝いを贈る習慣がありますが、出産祝いは難しくありません。日本と同じ感覚です。ベビー服やおもちゃ、なんでもよいと思います。日本製はもちろんのこと、中国製でもよい品物は喜ばれます。親族一同に対して、相手の面子が保たれるよう配慮することがポイントです。

お年玉

旧正月には、日本と同じように、子どもたちにお年玉をあげる習慣があります。赤に金字、干支などの入ったポチ袋に入れます。ポチ袋は、文房具屋やコンビニなどに一年中置いてあります。金額ですが、小さな子どもにも、いまは100元札が最低のようです。子どもの年齢や相手との関係、自分の立場で決めるとよいと思います。

また、中国では年配者にもお年玉をあげる習慣があります。子どもに100元だとしたら、お年寄りには500元ぐらいの感覚です。

ザ・オフィスファッション 2010

中国人女性の平均身長は日本人女性よりやや高く、全体にスタイルのいい人が多いと思います。北方の人のほうが高く、小柄なのは四川省の女性です。

ファッションは、40代以降は地味な人が多いですが、20代女性ですと、地味な人を探すほうがたいへんです。森ガールなんて、中国にはいません。また、中国人のオフィスファッションはカジュアルが信条。日本の新宿にあたる建外SOHOあたりに勤める女性たちは、夏は露出度の高いバカンススタイルでご出勤、そのまま仕事をします。良識ある日式ol風などあり得ません。建物と同様、押しの強さが特徴です。

春と秋が非常に短く、冬と夏が一年の大半を占める北京在住の女性は、夏のサンダル・スタイル、冬のブーツ・スタイルは得意ですが、春と秋の曖昧な?ファッションはいまひとつのようです。派手か地味、夏か冬しかなくて、中間というものがないのです。

男性も学生と同様、もしくは休日のお父さんスタイルが主流で、平日の地下鉄に乗っていても、スーツ姿の男性は1車両にひとりいるかいないか、といったところでしょうか。Yシャツ姿、スーツ姿の人もいるのですが、幼稚園児の制服・うわっぱりのように、とりあえずはおっている、いえ、はおらされている?といった感じで、明らかに日本人や欧米人の洗練されたそれとは異なります。

ですから、しばらく中国に滞在して日本へ帰りますと、最近はカジュアルに着崩すのが主流とはいえ、びしっとスーツを着こなすビジネスマンの姿に軽いカルチャーショックを受けるぐらいです。

中国人女性のメイク術?

中国人女性は、年齢に関わらず、ノーメイクかばっちりメイクか、たいていどちらかです。着こなしと同様、ナチュラルメイクという中間がありません。また、中国人女性特有のメイクとして、服装は地味目、肌は素肌でも、眉とアイライナーだけバッチリ、という人がけっこういます。しかも、黒いライナーで眉をしっかり描き、目はぐるりと囲み目なのは、やっぱり、パンダちゃんの国だから?

忘れられないのが、万里の長城で駐車場の整理をしていた女性です。私たちに、どけどけ、そこはダメだとわめいていた彼女は、よく見ると、イモトアヤコさんもびっくりの、極太マジックインキで描いかのような眉毛。なぜカメラに収めなかったのか、いまも悔やまれます。

日本文化に学べ

中国へ行くと、きっと感じると思います。中国人の日本製品に対する信頼感だけでなく、日本文化に対する大きな関心を。

若い世代や富裕層を中心に、いまや中国人は、アニメ&漫画(80年生まれ以降は、日本のアニメとマンガを見て育っています)、映画、観光(現在の人気は北海道や富士山)、音楽、芸能人(現在いちばん人気は嵐?若い女の子は「ひみつの嵐ちゃん」などを観ています)、ファッション(ファッション雑誌は日本のリメイク版が主流)、食べ物(回転寿司はいつもにぎわっていますし、生魚だけでなく、冷たいおにぎりも太巻きも、ふつうに食べます)、食材(お米や果物、粉ミルクなど)…あらゆるシーンで、ごくふつうに「日本」を取り入れています。

距離的にも感性としても、ちょっと手を伸ばせば手の届く身近さが、その理由だと思います。

建外SOHOの安いネイルサロンの従業員の女の子が、「うちは日本のやり方を学んでるの」と誇らしげに言っていましたが、スタバに行く途中、新しくオープンする日式高級ネイルサロンのパンフをもらってびっくり。都内&近辺のいろいろな支店が写真付きで載っていましたが、私の地元の「浦和パルコ店」なんてあったからです。

産みっぱなし?―中国育児事情

ご存じのように、中国は基本的に共働き社会です。また、元来、子どもを大切にする国です。さらに、中国の定年は早く、若くして老後が訪れ、日本のシルバー世代のように趣味に駆け回ることも少ないので、子どもを持つ若夫婦にとっては、もれなく無料の私設託児所環境が整っているということになります。

あるカップルに赤ちゃんが生まれました。夫の両親の家で数ヶ月の産休を過ごし、お母さんは仕事に復帰しました。同時に、彼らの自宅に戻りました。けれども、赤ちゃんは、あいかわらず祖父母と住んでいます。お母さんは、仕事が終るとしばし赤ちゃんの世話をして、夫婦はそこで夕食を済ませたら、赤ちゃんを置いて自宅に帰ります。おまけに、仕事のない土日も連れては帰りません。平日と同じように一定時間を過ごすだけです。ワンニャンもびっくりの、まさに産みっぱなしというわけですが、これもけっこうふつうのことだとか。

お母さんがバイバイをしても、泣きもせず、ニコニコしているこの赤ちゃんを見ていて不憫になるのは、日本人だからであって、親も祖父母も赤ちゃんも、やっぱり中国人はたくましい…。

3ヶ月でおしめのとれる赤ちゃん

もし、生まれて2、3ヶ月でおしっこをおしえる赤ちゃんがいたら…日本でしたら、その天才ぶりが、きっとマスコミで話題になるでしょう。けれども、中国ではそれほど珍しいことではないそうです。

私はこの目で見ました。おしっこがしたくなると、気難しい顔をして意思表示し、ちゃんと用を足す、まだハイハイもしていないような7ヶ月の赤ちゃんを。もちろん、おしめもしていません。びっくりしていると、生後2、3ヶ月から夜もおもらししたことがないとか。それはその赤ちゃんに限ったことではなくて、そのパパもそうだったとか。赤ちゃんを育てている祖父母は、そう自慢げに話します。それが優秀な子にするための基本であるかのように。

けれども、そのパパを見て思います。おしめが早くとれたからといって、別に天才に育つわけではないのだなぁ、と。

ひとりで目的地まで行けますか?

昼間、中国の都市の空港に到着したとして、あなたは、そこからひとりで目的地まで行くことができますか?それとも、現地の日本語のできるお迎えが来てくれるまで、そこでじっと待っている派ですか?

中国でビジネスすることの向き・不向きは、この質問ひとつでだいたい判断がつきます。

言葉ができなくとも、何らかの交通手段を使い、なんとか意思表示して、自力で目的地までたどり着こうという気力や好奇心、行動力のある人は、中国ビジネスに向いているといえます。反対に、これができない人は、中国に呑み込まれやすいタイプといえます。

ただし、夜間や地方都市は別です。特に、内陸部の地方都市の夜は、中国人男性も怖がるほど物騒なこともあります。勇気と自信過剰は別物です。

残ったごちそうは打包(ダーパオ)する

中国では、個人的なつき合いにおける招待の際も、余るほど注文しますので、そうすると、必ず残り物が出ることになります。この場合は、招待した側がお客にお持ち帰り(打包)を勧めるのがひとつのマナーです。その意味では、初めから「おみやげ」分を含めて注文するようなものです。

大小に関わらず中国のレストランには、必ず持ち帰り用の容器が用意されていて、従業員に声を掛ければ、適当なものを詰めてくれます。「打包」は食べ残しを包むという意味で、みんなが箸でつついたものを持って帰ってもらうことも、まったく失礼にあたりません。

ただし、残り物を持ち帰ってもらうのは、親しい間柄に限ります。どんなに余っても、ビジネスの間柄=宴会ではしません。

内々での食事の際やひとりで食事したときも、余れば当然、持ち帰りましょう。中国では、招待客への敬意を表すためにあり余るほど注文しますが、実は、お店の人に対しては、残すのは失礼と言われています。中国人はごくふつうに持ち帰っていますし、打包してもらうことは、決して意地汚いことではないのです。

それから、どちらが支払うにしても、お昼など、仕事のあいまにとる単純な食事、つまり接待(会社)や招待(個人)ではない食事では、余るほど注文する必要はありません。食べきれる量でいいのです。そのあたりは、中国人も実際的です。

親しい同僚や気の置けない友人とささっと済ませるという場合には、それぞれ麺ものを一品ずつ注文というのも普通のことですし、ごはん(中国では、子ども茶碗のような小さなお茶碗に、仏様のお供えのように山盛りになって運ばれてきます)片手に、こってりしたおかず一つを二人でつついている光景もよく目にします。

このように、実用的な食事と接待・招待とでは異なるのです。

贈り物には値札をつけて

ほぼ身内?の中国人一家に赤ちゃんが生まれたときのこと。「これは下の妹がくれたんだよ」と小さな箱に入った24金のアクセサリー(中国では、金といえば、やたら黄色くキンキラした24金です)を見せられ、ぎょっとしました。箱の真ん中に、しっかりと値札がついていたからです。値札は、つけて贈るのが常識だそうです。贈るほうも値段を強調したいのでしょう。

「ほら、うちの赤ん坊に3000元もお祝いしてくれたんだよ」彼は誇らしげにその値札を見せます。そして、ベビーカーは誰それからとか、誰がなにをくれたとか、親戚縁者からの出産祝いについて逐一解説してくれます。

日本人的感覚では顰蹙を買うに違いない彼のこの行為。でも、彼に悪気はありません。単にうれしくて話したいだけなのです。みんなの自分に対する尊重の度合いを。中国人的には、尊重は「心」だけでは足りません。常に「お金」や「モノ」、「行為」とセットなのです。

けれども、もう少し遠い関係でしたら、彼もこんなふうに自慢しないでしょう。それは、相手がごく近い関係であることの表れでもあります。

ガムテープだって日本製がいい

あるとき、「ガムテープある?」と聞かれ、日本から持っていった(メーカーは日本の会社ですが、生産は中国?)布製ガムテープを渡したところ、手でびりっと切れることにびっくりした様子。

「それ、中国製じゃないでしょう?」

「ええ、日本製」

「やっぱりね。日本製品は、なんでも中国製よりいい」

実業家の彼は、近々、バーベキューのお店を一挙に3店舗開店するそうです。開店祝いは、ガムテープの詰め合わせでキマリ?

命より大切な面子を潰さない

中国人の面子を潰してわざわざトラブルを招くのは避けたいものです。基本的には、相手の面目を失わせるようなことを避ければいいわけですが、知らず知らずのうちに面子を潰していたら・・・。では、日本人が踏みがちな地雷とは?

  1. 理由はどうあれ、中国人を人前で叱責すること。 本人がいる前で、第三者に対して本人を腐すような発言をすること
    • 人前で上司が部下を叱責することは、日本の会社ではごく当たり前ですが、中国人にとっては最大の恥辱です。個人対個人でも気をつけましょう
    • 叱責するときは、1対1&別室で。逆に、第三者の前では、社員やこちら側の人間を誉めて誉めすぎることはありません
  2. 食事に招待しながら、相応のグレードのお店にしないこと、あるいは十分に注文をしないこと
    • 招待された中国人は、その皿の数で自分への評価を計ります。「しけてる」ことは「尊重されていない」「バカにされている」ことと同じです
  3. 食事をともにした中国人が払う気満々なのに、割り勘を提案したりなど、気持ちよく接待を受けないこと
    • その中国人に「お金がない」の烙印を押したも同然かもしれません
  4. 接待されたお返しとして、つり合わないほど高級な店に招待すること
  5. 中国の国家、民族、個人について、「貧乏」「遅れている」と劣等感を抱かせる話題を持ち出すこと
    • 日本人の給与の額がわかると、(貨幣価値の関係で相対的に)数倍お金持ちであることが、中国人を傷つけます。そんなときは、日本人の給与が3倍でも、物価も3倍であることを示してフォロー

親しき仲にも面子あり

面子問題が微妙になってくるのは、中国人とある程度親しいつき合いになってきたとき、あるいは個人的なつき合いの場合です。

代表例といえば、冠婚葬祭・出産祝い等ですが、面子を潰さない =単純に高額にすることとは違います。たとえば、相手の身内よりも高額にすることが必ずしもいいとは限りません。面子を潰さないこととは、結局、まずは相手の身内や世間に対する恥とならないよう配慮すること、そして、相手にとって具合のいいところ、ちょうどいいところを、相手の立場や気持ちに立って想像し、探っていくという作業です。

とはいっても、日本人にはなかなかわからないのが中国人の面子です。ですから、知ったふりをして、あるいは、わからないままに行動して相手の面子を潰すよりは、素直に尋ねて、結果として相手の面子を保ってあげるほうがスマートですし、それは決して失礼にはあたりません。

なぜなら、この場合の中国人の面子は自分自身に対するものではなく、自分以外の身内や他人に対するものですから、あなたと相手とのあいだに予めやり取りがあっても、彼・彼女は、それを知らない自分以外の誰かに対して恥をかくことはないからです。