TEA TIME

北京レポート

第10回 / まりつは闘うよー!

オンナ行政書士・まりつの中国ビシネス(?)ずっこけ奮戦記(1999年1月)

北京入りして2日めの午後3時、約束のある場所をめざして私が向かったところは「南銀大厦(ナンインターシャー)」というそびえ立つビルでした。(「大厦」は大きなビルを表します)

南銀大厦

南銀大厦

ここで私は、中国人ではなく、ある日本人にお会いすることになっていました。

そこへ入るためには、このビルの一般出入り口とは違う小さな出入り口で検問があります。パスポートを見せるように指示されます。じっくりと見られます。 ものものしい雰囲気に、一瞬恐くなってしまいました。 怪しい者でないと確認されると、はじめて上へあがってよしとされます。

階段を上がっていくと、窓口あたりに中国人らしき人たちが見えました。短期ビザの申請に来ているのでしょうか。

ここは在中華人民共和国日本国大使館領事部です。

自分の背負った問題を解決するために、いきなり領事館を利用しようとは図々しい発想ですが、とにかくかけあってみようと思ったのです。

そこで、出発1ヵ月ほど前から連絡をとっていました。日本から電話をかけると、いつもまず中国人の職員が中国語で 出ます。要件を説明すると、今度は日本人の書記官の方にかわってくれます。

私の目的を知り、最初はその書記官の方が会ってくださることになっていて、アポまでとっていたのですが、話を聞いた部長さんが「彼に聞きたいことも私ひとりで済むでしょう」と、私の予定に合わせて会ってくださることになったのです。

「北京へ着いたら、いらっしゃる前に一度電話をください。まれに 何か事件があって、急に出かけなければならないこともありますから。」

感激しました。同じ日本人でも日本でならこうはいきません。究極のお役所ですもの。

日本国大使館領事部に潜入(?)

緊張して部屋に入り、挨拶をし、名刺交換をし、要件を切り出します。

「おひとりで北京へ?」「はい。」「ほー、浦和にお住まいですか。偶然ですね。私は日本では蕨ですよ。」あー、日本ではおとなりに住んでいらっしゃるのですね。 ちょっと緊張がほぐれます。

一般庶民兼駆け出し行政書士の私の話に、小1時間も真剣に付き合ってくださり、意見を言ってくださいました。

「正直言って、この問題については私でもわかりようがないですね。 難しい問題です。政府関係では受付けるかも知れないけれど、回答してくれるかどうか・・・あるいはもしできても時間がかかるでしょうね。C銀行と業務契約をしたらいかがですか。ちょっとお金はかかりますが、そんなに高くはないでしょう。」

一般の日本人が中国の銀行と契約なんてできるのでしょうか。

「C銀行にちょっと聞いてみましょう。」

部長さんが銀行に電話をかけ、流暢な中国語で話されているを聞いていて、自分の中国語が恥ずかしくなってしまいました。

伺うと、大学時代からもう25年も中国語に携わっていらして、北京赴任も2回目だそうです。足掛け3年足らず、実質6ヵ月のいいかげんな私とはレベルが違うわけです。

「本店の外事関係ですね。あとで問い合わせてみてください。」

「それかれらやはり、実際にその中国の会社に行ってみることですよ。その日本の会社そのものが実際の中国を知らないとき、問題が起こります。あなたがかわりに会って、質問して、直接チェックしてみることです。これはすごく意味があることですよ。そのときの自分の印象が大切なんです。そうすれば何が本当か見えてきます。それが中国です。天津は近いでしょ。行ってみたらいいじゃないですか。」

「天津へ? ですか。」

「そうですよ。だって、列車もあるし、車だったら3時間ぐらいでしょ。 同じ中国に、天津にその会社はあるんでしょ?だったら、せっかくだから行ってみたらどうですか? 何かわかることがありますよ。」

目から鱗、自分を大胆だと思っていた私でも、そこまでは考えませんでした。やはり、一国の代表をされているような方は、さらに発想が大胆なのですね。これでなくちゃ、中国ではやっていけませんよね。

感謝と尊敬の気持ちでその場を立ち去りましたが、なにかひっかかるものがありました。

正直言って、私は、領事館に行けば解決されるのではないかとか、わかるところを紹介してくれるのではないかとか、もっと期待していたのです。が、結局それはかないませんでした。甘い考えでした。やっぱりお役所はお役所なのでしょうか。いくら領事館でも、実際の問題の本当のところについては把握していないのでしょうか。

中国のエキスパートである領事館でわからないことが、どうして私ごとき一個人にわかるのでしょう。私はいったいなんのために北京まで来たのでしょう。そう考えているうちに、だんだんと暗い気持ちになり、足取りも重くなってしまいました。 すっかりしょげて落ち込んでいる私を迎えてくれたのは、強い北風ときれいな夕日と哥哥(お兄さん)の笑顔でした。

つづく